1万円未満と法律で定められているペナルティで、いきなり「40万円払いなさい」という命令が出されたら、あなたならどう思いますか?
「いやいや、そんなバカな話あるわけないでしょ!」と笑ってしまうかもしれませんよね。でもこれ、実際の裁判所で起きてしまった本当のポカミスなんです。
なんと所沢簡易裁判所が出した盗撮未遂事件の命令で、あろうことか法律に存在すらしない「科料40万円」という命令が確定してしまいました。
裁判所の前代未聞のミスを正すため、事件は検察トップ、そして最高裁判所まで巻き込む大騒ぎに発展していきます。
今回は、なぜ裁判所がこんな初歩的なミスをしてしまったのか、そして最高裁が下したちょっと意外な解決策について、分かりやすく紐解いていきましょう!
1. 裁判所がやらかした「あり得ない3つの間違い」とは?
まずは、今回の事件で裁判所がどれほど激しいポカミスをやらかしてしまったのか、そのあり得ない中身から覗いてみましょう。
事件の舞台となったのは、埼玉県にある所沢簡易裁判所です。ここで盗撮未遂事件を起こした被告人に対し、裁判所は「略式命令」という、裁判を開かずに書類審査だけで刑を決めるスピード手続きを行いました。
そこで裁判所が出した命令が「科料40万円を払いなさい」というものだったのです。
一見すると、ニュースでよく耳にする普通の判決のように思えるかもしれません。ところが法律のプロが見たら、思わず二度見どころか三度見してしまうような致命的な間違いが3つも詰まっていたんですよ!
刑の種類そのものを間違えた!
今回の盗撮未遂という罪に対し、法律が用意している刑罰は「3年以下の懲役」か「300万円以下の罰金」の2択しかありません。どこをどう探しても「科料」という選択肢なんて存在しないんです。
金額のルールが完全に崩壊している!
法律上、「科料」というのは1,000円以上1万円未満のとても軽いペナルティと決まっています。1万円を超えたら名前が「罰金」に変わるルールなんですね。それなのに裁判所は、「科料40万円」という、法律の定義上あり得ない謎のパワーワードを生み出してしまったのです。
払えない場合の日数計算まで狂っていた!
もしお金が払えなかった場合に刑務所などの労役場で働いてもらう日数の換算計算まで、この勘違いのまま処理されてしまいました。
信じられないことに、この間違いだらけの命令が誰にも気づかれないまま手続きを通過してしまい、そのまま「確定判決」になってしまったからさあ大変です。
2. 国家レベルの特別ルール「非常上告」が発動!
一度「確定」してしまった決定は、たとえ裁判所自身であっても「あ、間違えちゃったからやり直し!」なんて勝手に撤回することは許されません。確定した裁判のミスを正すには、国家レベルの特別な手続きが必要になってくるんです。
そこで立ち上がったのが、検察のトップである「検事総長」でした!
検事総長は最高裁判所に対し、「非常上告」という、裁判の重大な法令違反を正すためだけの特別ルールを発動します。
たった1つの裁判所のポカミスのせいで、日本の検察トップと最高裁判所の最高幹部たちが集まり、「このあり得ないイージーミスをどう片付けようか…」と真剣に頭を抱える事態になったわけですね。
3. なぜ最高裁は「正しい刑」に言い直さなかったの?
ここでみなさん、不思議に思いませんか?
「最高裁が『科料じゃなくて正しい罰金40万円に直しとくね』と言っておしまいにするのが一番スッキリするんじゃないの?」と。
実は最高裁が出した結論は、「科料で処分した間違いの部分だけを取り消して終わりにする」という少し不自然なものでした。間違った刑罰を破棄しただけで、正しい「罰金40万円」に言い直すことはしなかったのです。
なぜ最高裁は正しい刑に言い直してくれなかったのでしょうか?
実はそこには、「被告人を守る」という日本の刑事裁判の大原則が深く関わっていたのです。
日本の法律では、「科料」よりも「罰金」の方が重い罪として扱われます。 今回の事件で一番悪いのは、完全に法律を勘違いした裁判所側ですよね。もし最高裁がここで「正しい罰金40万円にしておくね」と直してしまうと、被告人から見れば「裁判所のミスのせいで、自分の刑が『科料』から『罰金』へ重く変更された!」ということになってしまいます。
たとえ被告人が罪を犯した立場であっても、裁判所側の不手際で不利益を与えてはいけないという強いルール(不利益変更の禁止)があるため、最高裁は罰金へと言い直すことができなかったわけなのです。
まとめ:裁判所のミスが生んだ、ちょっと珍しい法律ドラマ
結局、最高裁判所は「裁判所が犯したミスの部分だけを破棄する」という判断を下して、この前代未聞の事件に幕を下ろしました。
「絶対に間違いを起こしてはいけない」とされる裁判所という場所でも、時にはこんな信じられないような計算ミスや勘違いが起きてしまうんですね。
法律のルールや被告人の権利を守る仕組みがいかに厳格にできているかを学べる、なんだか少しクスッと笑えて深い、珍事件のお話でした!